January 20, 2008

ハワイの日本食品の卸し元、、

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 昨日の続き、、、、。
 
 昭和2X年。
T子は強引に山下(仮名)から離婚を迫られた。それは殆ど脅迫といっても良かった。
しかもそれには滅茶苦茶な条件を付けられていた。
離婚後M男もK男も山下の性を名乗ってはならない。
また今後一切、T子はじめ子供たちは山下に関わり持たないこと、。
T子はともかく、それは子供たちにとって全く人権を無視したものと言ってよかった。
M男もK男もその昭和2X年を持って山下の人生から抹殺された。
何と、、、あれから既に50年以上も経つ、、、。

 風の噂って言うのがあるよね、、、。
山下は(親父は)S子と再婚して男の子が2人できたと聞いた。
その2人の子は俺たちの異母兄弟って事になる。
その後親父の事などとんと忘れて、時々何かの機会に話が出る程度だった。
「おじいちゃんって、私達にはいないの?」
そんな話が健太たちの子供から出ることも有るしね、、。

 だが近年おっかさんの調子が悪くなってからというもの、
俺たち兄弟は親父の安否もそれなりに気になりはじめた、、。
数年前に健太は兄貴に言った。
「親父まだ生きてるのかな、、、」
「そうさなあ、、、気になるなら調べてみるか?」
その後兄貴の調査で、山下はまだ生存している事が分った。
「一応1年に一度くらいは安否を調べよう、、、」
兄貴は至って事務的に言った。
我々兄弟にとって山下は親父ではなく、単に「山下」と言う一個人でしかない。
何しろ俺たちが山下に捨てられて50年も経っているんだ、、。

 2007年12月x日8:15PM。
ホノルルの健太の家の電話が鳴った。
普段この時間はどこからもあまり電話は掛かって来ない。
健太は変な予感がした、、。
「親父はまだ生きてるのかなあ、、?」
「ああ、そういえば最近調べていないなあ、、。ま、近いうちにまた調べてみようか、、、」
先週(12月)日本に行った時そんな話を兄貴としたからだ。
受話器を取る前に健太はとんまに言った。
「もしかして親父が、、、」
とんまの顔が引き攣った。

 「もしもし、、?」
「おう、健太か?M男だ。山下が死んだ!」
健太の予感は的中した!
「どうだ健太、一月中ごろ日本に来れるか?」
「焼香でもしようってのかよ、、」
「ふむ、ま、向こうには俺たちの異母兄弟もいる。こっちの思うようにはならないさ。
それに、やつ等は俺たちの存在すら知らないかも知れん、、」

 先々週、1月10日。
健太ととんまは日本に着いた。
半田の兄貴のところで2泊。その後は東京のとんまの実家へ、、、。
日本は寒かった。
ましてや夜に布団に入ると何故か親父の事ばかり考えてしまって、
なおさら寒さが身に沁みてくる、、、。
とんまはフライトがあるので先にホノルルに帰らなくてはならない。
「健太、あたし先にホノルルに帰ってるけど、元気を出して。しっかりしてね!」
健太が毎日何かに取り憑かれたようにボーットしている姿を見て、
心配そうにとんまは言った。

 そして16日の朝、カミソリが紛失しているのに気がついたのさ!
更に17日、何とその紛失したはずのカミソリが、もとの位置にしっかりと置かれていたんだ、、。
あの夜、健太の夢の中に出てきたのが誰だかわからない、、。
でもまるで、
「わしがあのカミソリの悪戯をしたんだ!」、、、
と言いた気に、その影は脳裏に浮かんでは消え、浮かんでは消え、、。
そう、それは「山下」、つまり親父に間違いない!
50年前に、あの「レッドソックス」の2枚のチケットを隠した健太への仕返し、、。
と言うより、
きっと親父は、彼がもうこの世の者ではなくなっていることを俺たちに知らせる為に、
そんな悪戯をしたんじゃないかな、、、。

 山下さん。成仏してください、、、。

 写真は会員制日本食品の店、「マルカイ」。元来彼等は卸売りが本業です、、、。
今日は雲も多かったけど何とか晴れてくれました、、。1月に入ってから天気は大分回復しているようだね!

 


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January 19, 2008

そして幽霊の正体は、、、

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 山下(仮名)はM大学のエース。
六大学野球史上に何とか自分の名前を残したかったが、もう既に時は遅かった。
卒業前最後の秋のリーグ戦を終えた現在、在学中「36勝」と言う数字は何らかの形で名前は残るとしても記録にはならない。
卒業後はある大手企業に就職が決まっている。
プロからの誘いも有って仲間の何人かはその誘いに乗ったが、山下は当時まだ不安定だったプロ野球に一生を投じる気にはなれなかった。
愛するT子もいる。T子を幸せにするにはそれが一番だと、自分に言い聞かせた。

 その日山下たち4年生は、後輩たちを鍛えるために春先の練習に参加した。
「山下!面白い話が来たぞ!」
練習を終えた山下が部室のロッカーで着替えていると、キャッチャーの村田がその太った体を揺さぶりながら汗を拭き拭き興奮した面持ちで入ってきた。
現在M大のキャッチャーは村田、川合と2人いて、どちらも実力はほぼ互角。
先シーズン、川合の方がわずかに打率が良かった。
しかし山下の投げる時は必ずこの村田を指名した。
理由は村田の巨体はピッチャーが投げる的として安心感を与えてくれるからだ。
つまり、「的は大きい方が投げやすい」と言うのが山下の持論だった。
「プロのタートルスが明日俺たちのグランドをトレーニングに使いたいと言ってきている!」
村田は部室のロッカーの前の長椅子に座ってユニフォームを脱ぎながら、バッグを取り出してアンパンをかじった。村田は何時も何か食べていないと気がすまない男だった。
「それがどうしたんだ、、」
「それでさ、タートルスのマネージャーが明日うちの野球部に練習試合の相手になって欲しいと言って来てるんだ!」
「プロが俺たちアマを相手に試合をしたいって事か?」
「そうなんだ!それでうちの監督は明日その試合でお前に投げさせたいって言ってる!」
村田は既に2つ目のアンパンを頬張りながら山下にそう言った。

 時は昭和9年2月某日午後。
まだプロ・アマの間に難しい制約のない頃、M大とプロ野球チーム・タートルスの試合はM大の野球グランドで行われた。
T子はマウンドで力投する山下の姿をじっと見守っていた。
山下は時々一塁側客席の芝に座っているT子を見ては、かすかに笑顔を見せた。
その笑顔にT子は恥ずかしそうに微笑み返した。
客席にはこの近くの住民たちがかなり集まって来ている。
プロの有名選手も来ているばかりか、地元のM大がそのプロと対戦する。こんな機会は二度とやってこないかもしれない。
そんな思いで近所の住民は集まったに違いない。
その数はざっと200人ほどだろう。
カメラを担いだマスコミの姿もちらほら見える。
T子はこのM大の野球グランドのすぐそばに住んでいた。
山下は何時もM駅からこのグランドに向う途中、T子の家の前を通らなければならなかった。
小柄で色が白く、美しい瞳のT子の姿を垣根越しに見いながら、
<あんな女の娘と結婚したい、、、>
と、山下は密かに心ときめかせていた。

 試合は既に9回裏、5対3でタートルスがリードしている。
ランナー2塁3塁。2ダウン、2ストライク3ボール!
バッターはキャッチャー村田。
タートルスのピッチャーはこの9回から突如登板したエース落合。落合はその急速に落ちるドロップを武器に昨シーズン22勝を上げている。
まさかの彼の登板に観客は沸いた。
<アマとの試合にエースを出すとは、、、。それも押さえに、、、、>
誰もがそう思ったに違いない。
しかしここでのエース登板はそれほどの意味はなく、単なるファンへのサービスだったのだろう。

 村田は落合の表情を見て、
<次は絶対に決め球を投げてくる!>
と山をかけた。
大きなモーションからボールが落合の指から離れた。
プロのボールは球足が速い。
しかし村田の予想通り、ホーム・ベースの近くでボールは急速に落下した。
村田はそのボールをなんとかバランスを崩しながらも、下からしゃくうように打った!
村田のバットに当たったボールはピッチャーとショートの間にふらふらと上がった。風に流されてその距離が伸びている。
それを捕らえようと全速でボールに向かうセンターがだっがたが、差し出したグラブのほんの少し先でグランドに落下した。村田はゴルフでもスライスしか打てない男だった。
グランドに落ちたボールは激しい右回転でライト方向へ転がった。
その間2塁3塁のランナーはホームベースを踏んでいる。
5対5の同点だ!
ライトがもたもたしている間、さすがの足ののろい村田も懸命に走った。
2塁打だった。
観客がいっせいに沸いた!

 次のバッターは9番の山下だ。
山下はピッチャーだが、打撃にも自信があった。
なにしろ甲子園で全国中等学校優勝野球大会 (高校野球の前身) に4番ピッチャーとして出場した経験がある。
マウンド上のエース落合はC中学野球部の先輩だ。
<何とか落合先輩からヒットを、、!>
気負う山下に現実は冷たかった。願いも虚しく結局空振りの三振に終わってしまった。
しかし試合はその後、
延長10回の裏、4番大田のさよならソロホーマーと言うあっけない結末でM大が勝ってしまったのだ。
筆者の知る限り、アマチュアがプロに勝ったと言う記録はこれ以外にない。
いや記録として残っているかどうかも正直言って分らないが、
野球史上、後にも先のもアマチュア野球がプロ野球に勝ったのはこれだけだろう。
もちろん勝ち投手は山下。
これは山下本人から聞いた実話である。

 山下はM大卒業後、めでたくT子と結ばれた。
子宝も男子2人に恵まれ、新居も井の頭線「F駅」から10分ほどのところに構えた。
勤め先ではその会社の野球部に入って、好きな野球で活躍もできた。
大企業であるにも関わらす、山下は社内の何処にいても目立つ存在だった。
長身かつ色黒でその彫りの深い精悍な顔立ちは、若い女子社員たちにも大いに人気が有った。
長男M男が10歳、次男K男が7歳。
子供たちも元気でいい子に育っている。
長男の学校の成績は常にトップ。
次男は自分に似てスポーツ向き。どちらも自慢の息子たちだ。
また比較的古風ではあるがT子の料理は抜群で、付き合いで行く何処の料亭の料理も山下には色あせて思えてならなかった。
何の不満もない山下の人生のはずなのに、、、、
何かが満たされていなかった。
山下は何とか出世したいと願っていたが、なかなかその機会に恵まれないのだ。
たとえ会社の野球部で良い成績を出しても社員たちにちやほやされるだけ、
それは出世とは何の関わりもなかった。

 長男M男が11歳になったとき、やっと係長の辞令が下った。
<よし、今度は課長の席を狙ってやろう!>
これと言ったエンターテイメントのなかったあの時代の野球は、
今では想像もつかないほどの人気スポーツだった。
6大学のエースはまさにスターと言っても過言ではなかった。
幸い野球で重役連中も山下の存在を知っていてくれている。
山下は機会があるたびにその立場を利用して彼等に接近した。
そんなある日、新入女子社員が山下の下に配属されてきた。
S子だ。
S子は足の線が抜群に綺麗な、近代的なセンスを持ち合わせた美人だった。
「山下君、今度君のところに行ったS子だが、実は私の娘なんだよ。ま、君の力で当社の社員として一人前に育ててやってくれんか」
専務取締役の片岡が廊下ですれ違いざま山下に声を掛けてきた。
「あー、そうだったんですか。分りました。お任せ下さい!」
意外な専務の言葉に山下は緊張した。

 ある晩残業を終えて時オフィスに残っていたのは、S子と山下だけだった。
「山下さん、こんなに遅くまであたしを働かせて、、、。帰りにお食事位ご馳走してくれるんでしょ?」
いたずらっぽく笑って山下の表情を覗き込むS子目が、山下を動揺させた。
その夜山下はS子を連れて帝国ホテルでステーキを食べた。
<T子が焼き魚なら、このS子はまさにステーキみたいな女だ、、>
山下はそんなことをステーキを食べるSを見ながら思った。
帝国ホテルのレストランを出たS子は、さっきのワインでかなり酔っている。歩きながら山下に寄り添って身を任せてくる。
「おい、S子、、、、」
山下は少しS 子を押し返した。
「あら、山下さん、S子の事嫌いなの?」
「ば、馬鹿な。俺は結婚しているんだぜ」
「何よ!生地なし。ねえ山下さん、あたし昔から山下さんのファンだったの。知ってた?」
「知らん。でも、昔から?」
「そう。あたしこれでも山下さんがM大でピッチャーしてる頃、神宮球場に入りびたりだったんだから」
「、、、、、」
「そうね、貴方には何時も素敵な人がいたからあたしなんか、、」
そういいながらS子は一人先を歩いて行った。

 その後山下は残業があるたびにS子と食事をするのが当たり前になっていた。
「ねえ、山下さん、出世したくないの、、」
そんなある晩、S子は山下の腕にすがりながら言った。
<出世、、、。もちろんしたい!>
そう言いかけたが言葉にならなかった。
「パパに頼んであげようか、、、」
S 子はまた、あの下から覗くような笑顔で言った。
<T子とこのままいたって、俺は死ぬまで会社の重役などにはなれない、、でももし俺がこのS子と、、、、>
そう思った時、山下の唇はS子の唇と激しく重なった。

 「お母さん、お父さんはどうしてこの頃帰ってこないの?」
T 子は長男M男の言葉に何と答えていいか分らなかった。
山下はこの半年ほど殆ど帰宅していない。噂では専務の娘となにやら関係があるという、、。
しかし山下が生活費も入れてくれないので、食べ盛りの男の子を2人抱えて生きてゆくのは至難の技だった。
T子の父親は町医者。
多少は恵まれたていると言っても、昭和20年代初期、戦争直後の開業医など娘親子を扶養出来るほどの余裕はなかった。

 久しぶりに山下は井の頭線「T駅」の自宅に戻った。
<もうこの家には戻らないかもしれない、、>
T子の作った夕食事にも箸をつけず、風呂を浴びながらそう考えていた。
近々T子と別れてS子と結婚する事を決めている。
明日の日曜はアメリカの大リーグ「レッドソックス」と「日本プロ選抜軍」との親善試合だ。
S子を連れて見に行くことになっている。
風呂を出て部屋着に着替えて応接室の簡易ベットに横たわった。
<S子と結婚できれば、まず課長の席は確保できるに違いない、、、>
一日も早くこのT子やこの子供たちと決別しなくてはならないと心は焦るばかりだった。

 K男は久しぶりに父親が帰ってきたので嬉しかった。
正直言って、一緒に遊んで欲しかった。
<ついこのまえまではキャッチ・ボールをしてくれたのに、、>
しかし帰宅した父親はM男やK男たちを寄せ付けようともせず、眉間に皺を寄せた表情で家の中にいる。
K男は親父が風呂に入っている間にいたずらをしてやろうと思った。
応接室のハンガーに親父のズボンが掛かっている。
ポッケッとを探ってみると2枚の切符が出てきた。
そっとそれを抜いて子供部屋の自分の引き出しにしまった。
風呂から出た親父暫らくすると烈火のごとく怒って母親に当たりだした。
「おい、俺の明日のレッドソックスの切符を何処に隠したんだ!」
あまりの親父の剣幕に、K男は自分が隠した等ととても言えなくなってしまった。
翌朝K男は親父が髭を剃っている間を見計らって、2枚の切符を親父のポケットにそっと戻しておいた。
K男が学校へ行こうとすると親父が母親を怒鳴り始めた。
「誰だ、俺の切符を取って元に戻したのは!それともこの家には化け物がいるって言うのか!」

 そうです、このK男、つまり化け物の正体は何を隠そう健太だったんです、、、(笑)。

明日に続く、、、。

 写真はワイキキの「ハレクラニホテル」。ワイキキでは日本人の姿がますます少なくなってきているように思える、、。

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